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東レグループに何が起きたのか?
東レの子会社である東レハイブリットコードで生産するタイヤ補強材の一部であるタイヤコードの品質データを改ざんしていたことを発表した。
東レの問題
東レハイブリッドコードは客先の要求規格から外れた製品をデータ改ざんして出荷していたことはもとより、問題を把握した時点から1年4ヵ月間公表しなかったことが、三菱マテリアル同様悪質だと指摘されています。
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なぜ公表に時間がかかったのか?
東レの社長曰く、データ改ざん情報の整理、顧客への説明に時間がかかったとの事。
しかしながらその間改ざん品は当然出荷し続けていました。
東レグループの改ざん方法
東レハイブリッドコードはタイヤコードの品質検査で顧客との取り決めである規格から外れたデータ数値を規格内にデータ改ざんして出荷していました、「データの差異は極僅かなので問題無し」と担当者が勝手に判断しました。
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なぜ東レはデータ改ざんしてしまったのか?
東レの中にはデータ改ざんした規格外の製品を取引先の了解を得た上で出荷する「特別採用」と呼ばれる慣習が有り、それが東レ品質管理担当者が拡大解釈してデータ改ざんに繋がった可能性があるとしています。
東レの経営陣の説明では、再測定をするという頻雑な作業をしたくないということもデータ改ざんした動機としてあったかもしれないともコメントしています。
東レの改ざん期間
2008年4月~7月
東レデータ改ざん件数:149件
その内:タイヤメーカー13社
2016年7月 データ改ざんが発覚する
2017年11月 データ改ざんについて公表する
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東レのデータ改ざん対象製品
データ改ざん対象製品は、東レの子会社である東レハイブリッドコードが生産するタイヤコード、自動車用ホース・ベスト用コード、抄紙用コード。
東レハイブリットコードが生産するタイヤコードはタイヤの形状を保持する為の基礎素材、現代のタイヤの主流であるラジアルタイヤに多く使用されています。
東レの出荷先
今回東レハイブリッドコードが改ざん品を出荷した先はタイヤメーカー、自動車部品メーカー、製紙用フェルトメーカーなど13社。
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なぜ東レはデータ改ざんの事実を発表したのか?
インタ―ネット上で東レの改ざん不正を指摘する声があがり、東レ株主から問い合わせがあったこと、神戸製鋼のデータ改ざん不正が話題になったことを併せて判断、公表を決意。
驚くことに、こういった外部の動きがなければ改ざんについて公表するつもりはなかったと東レはコメントしている。
東レのコメント
東レの経営陣からは「大変な迷惑と心配を掛けた」と陳謝。
しかし、「改ざんしたデータは規格値からわずかしか離れていない、不正の無い製品と実質的な差はない」とも東レ経営陣はコメント。
ちなみに現時点では東レに法令違反や安全性に問題は見つかっていない。
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経済同友会のコメント
東レには法令順守や安全が会社の存続に関わると言い続ける以外に解はない、日本の製造業は今回の東レの改ざん事件を良い機会としてもう一回ネジを巻き直すべきだ、とコメント。
東レの対策
東レは、データ改ざんを実行した東レハイブリットコードの品質保証室長2人の交代、品質保証室から品質保証部への昇格などの組織変更を2016年7月以降に実施した。
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東レへの予想される今後の影響
東レグループ内での追加不正発覚、内部告発
東レグループの取引先減少
客先からの製品検査、交換依頼などに伴う特別損失
データ改ざん時期が東レの前社長が就任していた時期とも重なる為、当時の東レ社長も責任を問われるべきという声が上がっている。
まとめ
神戸製鋼から始まり、三菱マテリアル、東レと素材メーカーで相次いで改ざん不正が続いています。
共通点は、製造業の上流工程に位置する素材メーカーということで、影響は防衛、航空、自動車など日本を代表する製造業は勿論世界中の販売先へ影響があり、尚且つBtoBの為一般的には知られない所での不正ということです。
神戸製鋼と東レでは”特別採用”という同じ文化を持っており、基準値よりも低くても納入しており、こういった特別な商習慣が今回の様なデータ改ざん不正を引き起こす温床になったと推測されます。
取引先との慣れ合いや思い込みを無くし、品質管理の規格化、透明化を図ることがこれからの製造業には問われそうです。
東レの今後の動きに期待したいと思います。