
油圧機器大手「KYB」(カヤバ)は10月16日、同社と子会社の「カヤバシステムマシナリー」が製造した免震・制振装置に検査データの改ざんを認めた。
KYB(カヤバ)は国土交通省の基準や顧客の性能基準に合わない製品を長年出荷していた。
しかも問題が発覚した理由は、KYB(カヤバ)従業員による内部告発とのこと。
神戸製鋼所や東レ、三菱マテリアルなどと発覚理由は似ている。
そのデータ改ざん内容だが、KYB(カヤバ)は免震・制振装置の性能検査上で、国が定める基準や企業との契約の範囲内に製品データが収まるように検査データを改ざんしてきたとのこと。
KYB(カヤバ)はどんなデータ改ざんをしたのか?
KYB(カヤバ)はどうやってデータ改ざんしたのか?
KYB(カヤバ)はなぜデータ改ざんしたのか?発覚理由は?
被害にあったKYB(カヤバ)の客は?(対象物件)
KYB(カヤバ)のデータ改ざん事件を経緯から調べたので、わかりやすい図とともに紹介する。
https://trend-news-to-you.com/mitsubishi-material-kaizan
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Contents
KYB(カヤバ)データ改ざん不正の経緯
KYB(カヤバ)の不正は本体である岐阜南工場(岐阜県)から子会社であるカヤバシステムマシナリー(東京都)の工場に引き継がれたとのこと。
つまり長年データ改ざんは本体で管理してきたが、子会社に移って本体の目が離れたため、管理ができなくなったともいえる。
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データ改ざん・不正内容
KYB(カヤバ)製品の免震・制振用のダンパーの検査データの改ざん問題だが、なんと免震ダンパーのクッションの硬さ・柔らかさを示す値が、基準より40%以上ずれた製品が出荷されていたことがわかった。
一方制振ダンパーはマイナス17.9%~プラス20.5%の誤差が確認されている。
国の基準では許容範囲は15%まで、KYB(カヤバ)の客先との合意基準は10%以内だったにも関わらず・・・。
データ改ざん方法とデータ改ざん時期
KYB(カヤバ)製ダンパーの検査数値が基準を逸脱した場合には必要のない係数を掛けて合格の検査数値範囲内に修正するというのがKYB(カヤバ)のデータ改ざん方法だった。
データ改ざん時期については、今までの調査では2003年1月から2018年9月ごろまで続いていた可能性が高い。
KYB(カヤバ)製の免震装置は、大臣認定の基準未満製品が499本、顧客間合意基準未満が1914本、調査中が5137本あり、合計出荷総数の7割を超える見込み。
そしてデータ改ざんが始まってから今までに、少なくとも8人の担当者が不正に関与したとみられる。
ちなみにデータ改ざん方法はマニュアルではなく口頭で伝達されたきた。
https://trend-news-to-you.com/nissan-subaru
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KYB(カヤバ)のデータ改ざん理由
KYB(カヤバ)製の免震・制振装置の性能検査は基本的に担当者1人だけで行れており、装置が基準に満たなかった場合は約5時間かけて分解と調整を行い再試験をするのが決まりでした。
しかし、KYB(カヤバ)検査員はその分解調整の手間を惜しんで、検査データが基準内に収まるようにデータを改ざんし免震・制振装置を出荷してきた。
つまりデータ改ざんした理由は、納期が迫っており分解調整する時間がなかったとKYB(カヤバ)社員は言う。
これは神戸製鋼所を始め他のデータ改ざんが発覚した製造業と理由が被る。
https://trend-news-to-you.com/kobe-steel-data-kaizan
なぜデータ改ざん不正が発覚した?
データ改ざんが発覚した理由は、KYB(カヤバ)子会社従業員による内部告発だった。
2018年8月上旬、KYB(カヤバ)子会社カヤバシステムマシナリーの従業員がデータの改ざんを上司に指摘するも動かなかったため、音声データを突き付けて自首を促した。
そして不正が世に発覚した。
しかしながらデータ改ざん不正がKYB(カヤバ)社内で発覚してから一般に公表されるまで2ヶ月掛かりましたので、その間データ改ざん品が市場に出回り続けたことになる。
KYB(カヤバ)のモラルが問われる。
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データ改ざん対象物件
データ改ざんの疑いがある装置を使用した対象物件は、日本全国で住宅や医療機関を含む987件、装置は合計1万928本にもなる。
特に一番対象物件が多いのが東京都内で、驚きの247件が対象となっている。
その対象物件の中にはJR東京駅の駅舎や五輪施設等、不特定多数が利用する物件も含まれる。
データ改ざん対象物件中の重要施設
・羽田空港国際線旅客ターミナル
・東京スカイツリー
・東京駅丸の内駅舎
・東京都庁
・愛知県本庁舎
・慶応大学病院
・熊本市民病院
・六本木ヒルズ
・日銀本店
・五輪水泳センター
(ごく一部の対象物件を抜粋)
KYB(カヤバ)製の免震・制振ダンパーの安全性は?
KYB(カヤバ)によると今わかっている範囲では震度7でも問題ないとのこと。
しかしながら、データ改ざんしていた企業のいうことは信用できませんし、特に免震ダンパーは国の基準値を下回っても上回っても揺れに弱くなり通常の構造物よりも危険になる可能性があるので、対象物件には早めの検査と交換が求められる。
逆に制振ダンパーは免震ダンパーと違い構造物に埋め込まれる本数が多いので、データ改ざん品が混じっていても問題になりにくい。
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KYB(カヤバ)の今後の対応
KYBは対象物件に対して、免震・制振装置を無償で交換すると発表しています。
勿論データ改ざんが確定している物件、データ改ざんの疑いのある物件の交換を優先する。
しかし、KYB(カヤバ)の生産能力を考えるとデータ改ざん不正が疑われる対象物件をすべて交換するのに最短で2年はかかる。
現在の世間の反応
東日本大震災の被災地の消防防災施設にもKYB(カヤバ)のデータ改ざんされた装置が使われていることが発覚し、住民は怒っています。
具体的には、陸前高田市の「消防防災センター」でKYB(カヤバ)の装置が納入されています。
被災から立ち上がろうとしている中で足元から崩されるとはこのこと、「モラルにかける行為」と住民からコメント。
国土交通省からも「誠に遺憾」とコメント。
マンション等不動産オーナーの意見
不動産の価値が下がるので、データ改ざんがあったことを個別に公表しないで欲しい。
KYB(カヤバ)が中々全てのデータ改ざん対象物件を公表しない理由は、この辺りの事情が関係していそうだ。
その証拠に今公表されている対象物件は公表されても痛みのない省庁など国絡みの物件が多い。
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データ改ざんの日本全体への影響
免震システムで評価が高かった日本製品に悪影響が予想される。
地震大国である日本が、これから世界に輸出していける競争力のある装置だっただけに、非常に残念。
3年前には、東洋ゴム工業の免震ゴムで性能偽装が明らかになっていたが、その教訓が全く生かされていなかったことがわかる。
https://trend-news-to-you.com/toray-fusei
まとめ
免震・制振装置は日本が世界で戦っていける製品だけに早めの対応を願う。
日本全体で発覚する製造業によるデータ改ざんもそろそろ落ち着いてほしいものだが、恐らくまだ氷山の一角なのだろう。
特に世界中に出荷した製品にもデータ改ざん不正があると、より厳しい追及が予想される。