神戸製鋼のデータ改ざんはなぜ発覚?/世界中に影響で倒産か

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神戸製鋼に何が起きたのか?

2018年7月追記

神戸製鋼所はアルミ製品や銅製品、鉄粉製品の一部で強度などのデータを改ざんしていたとして世界中で神戸製鋼が話題となっています。

なぜなら原料のデータ改ざんは日本の製造業全体の信用にかかわる問題だからです。

神戸製鋼所の問題・時系列

2016年6月  神鋼ステンレスから不正の報告を受けていたにも関わらず「公表の必要なし」と指示する

2017年8月末  神戸製鋼アルミ工場からアルミ部門の管理職へデータ改ざんの問題報告

8月30日    神戸製鋼社長を含む経営陣にデータ改ざんの報告があった。

2017年9月中 主要顧客へ順々に状況説明・謝罪で行脚

2017年9月28日 神戸製鋼から経済産業省にデータ改ざんの事実報告が入る、早急に原因究明と再発防止策を提出するよう求めた。

2017年10月8日、神戸製鋼によるアルミと銅製品の一部で強度などのデータ改ざんが一般に明らかになる。

2017年10月11日 神戸製鋼による鉄粉製品や子会社が製造した金属製品についてのデータ改ざんも明らかになる。

2017年10月12日 神戸製鋼の新たなアルミ製品のデータ改ざんの疑いが浮上する

2017年10月13日 神戸製鋼が海外(中国)で生産する主力製品である線材製品にも新たにデータ改ざんした事実が明らかとなった。
更に神鋼メタルプロダクツを含むグループ企業の中国・マレーシア・タイ工場で作られた銅管やアルミ合金線材で改ざんがあったことが新たに発覚した。
該当顧客数は500社以上。

 

2017年10月16日 帝国データバンクの発表により、神戸製鋼の取引先は6000社以上あることがわかった、現状の該当顧客は500社だが、更に被害が拡がる可能性を懸念。
神戸製鋼の子会社であるコベルコ科研自社製品のデータ改ざんをしたが、神戸製鉄所の石炭火力発電所増設に伴う環境評価の調査を担当していることが分かった。

 

2017年10月17日 神戸製鋼は数十年前から不正をしていた可能性がOBや関係者への聞き込みで分かってきた、

米司法当局からGMなど向けに出荷した製品のデータなど関連書類の提出を求められたと発表した。

 

2017年10月18日 欧州航空安全局(EASA)は神戸製鋼の対象製品の安全性が確定するまでの間、使用停止を勧告した。

2017年10月19日 トヨタとホンダは使用している神戸製鋼のアルミの安全性について問題ないと発表

2017年10月20日 神戸製鋼がISO9001を満たしていない可能性があるとして各拠点に調査予定との報道、神鋼鋼板加工でも不正が見つかる。

2017年10月23日 神戸製鋼が検査装置に残っている生データを納入先に提供していることが分かった。

2017年10月26日 神戸製鋼子会社のコベルコマテリアル銅管の秦野工場で一部JIS認証を取り消されたことが分かった。

新たに4件のデータ改ざんが判明、神鋼造機の鋳物、減速機、コベルコ科研の試作合金、神戸製鋼のウラン濃縮遠心分離機。

 

2017年10月30日 神戸製鋼が大手銀行3行に500億円融資要請(みずほ、UFJ、三井住友)

2017年10月31日 三菱重工がデータ改ざんによる不信から、取引を神戸製鋼から別の会社は切り替えることを検討とアナウンス。

2017年11月2日 神戸製鋼の子会社にあたる神鋼メタルプロダクツデータねつ造した配管2900本国内火力発電所に納入していたことが分かった。

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2017年11月3日 神戸製鋼の元役員が在職中にデータ改ざんの不正を知りながら放置していたことが分かった、生産現場出身のOBも多い。

2017年11月7日 神戸製鋼のデータ改ざん問題で、工場長レベルだけでなく役員らも過去に不正を黙認していたことが分かった。

2017年11月10日 神戸製鋼データ改ざんに対する報告書を会見で発表する、不正は現場で起きて経営陣は関与していないとPR、再発防止策がほとんどない、外部機関の調査が終わって改めて正式に報告したいとのことだった。

 

2017年11月15日 神戸製鋼の3つの製造拠点で新たに不正が発覚、栃木県の「真岡製造所」、山口県の「長府製造所」、北九州市の「神鋼メタルプロダクツ」がJISに違反。

コベルコマテリアル銅管秦野工場の全ての製品がJIS認証の取り消しとなった、ISO9001については既に取消済。

 

2017年12月5日 神戸製鋼所の長府製造所のアルミ押出工場が持つJIS認証の一時停止の通知を受けたと発表

2018年3月6日 神戸製鋼の川崎社長と金子副社長が辞任を発表、社外取締役の比率を3分の1以上にして意思決定の透明性を図る。

 

新たに品質データ改ざんが見つかり、不適合品の出荷先は688社になった。

アメリカで神戸製鋼を相手に一般消費者が集団提訴。

2018年5月31日 神戸製鋼の長府製造所(山口県)と大安製造所(三重県)で遅くても平成11年から客先から要求のあった品質検査を行わずに出荷していたことが分かった。

 

2018年6月5日 東京地検特捜部と警視庁が不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで神戸製鋼東京本社を家宅捜索

2018年7月10日 東京地検特捜部が不正競争防止法違反容疑で神戸製鋼所を立件する方針を固めた。

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なぜ問題把握から公表まで時間がかかったのか?

神戸製鋼によるとデータ改ざんした不良品の出荷を止めて、グループ内の事業部門の監査、出荷先の製品への影響・検証や説明を優先していたとのこと。

鉄鋼製品の不正を公表してこなかった理由は、「損益に影響する法令違反ではないなどの判断だった」とのこと。

神戸製鋼所の手口

各メーカーと事前に約束していた強度を満たしていないにもかかわらず、検査証明書のデータ改ざん後に出荷していた

検査未実施について:製品の肉厚の検査を2ヵ所行うべきなのに1ヵ所だけ行ってもう1ヵ所は検査せずに数値を記載するといった形。

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いつからデータ改ざんしていたのか?

一番古い物では40年以上前から改ざんしていたことが明らかになった、データが基準値に達していない製品のこと”トクサイ”(特別採用)と呼び、客先に納入していたとの事、ここから神戸製鋼の組織ぐるみでの不正の常態化が疑われる。

神戸製鋼の過去の問題

2008年に神戸製鋼のグループ会社である日本高周波、2016年に神鋼鋼線ステンレスでJIS規格に違反するデータ改ざんが見つかり、コンプライアンス強化を掲げたばかりの中の不正発覚だった。

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データ改ざんした神戸製鋼の拠点・子会社

神戸製鋼真岡製造所(アルミ・銅製品)

神戸製鋼長府製造所(アルミ・銅製品)

神戸製鋼高砂製作所(鉄粉製品)

神戸製鋼大安工場(アルミ・銅製品)

コベルコマテリアル銅管(アルミ・銅製品)

コベルコ科研(工業製品の成分分析)

データ改ざんをしたのは現時点で数十人規模で、品質保証部に加えて製造部門の者も含まれているとのこと。

データ改ざん対象製品の数量

アルミ製品(板、押出品) 約19,300㌧
銅製品   約2,200㌧
アルミ鍛造品 19,400個
鉄粉 2,500㌧/年
製造・検査 6,611枚/70社
銅合金管 700トン
モールド 5,300個
銅管(細萓) 750トン(マレーシア)
銅管     1,140トン(タイ)
アルミ合金線材 12.5トン
銅板条 31トン(中国)
鋼線 3,525トン(中国)
鋼線 306トン(中国・佛山)
特殊鋼 3,990トン
ステンレス鋼線 553トン

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神戸製鋼所の客先

トヨタ自動車、日産自動車、三菱重工業、マツダ、ホンダ、三菱自動車、スズキ、GM、テスラ、ルノー、ダイムラーなど500社を超える。

また三菱重工業、川崎重工業、SUBARU、IHIからの報告で神戸製鋼の問題製品が防衛部品にも今回のデータ改ざん製品が使用されていた可能性があるとのこと。

具体的な製品では防衛関係のH2Aロケットや魚雷、MRJなど航空機、自動車、新幹線(英新幹線にも)、福島第二原発向けの配管部品などの製品に使われていたことが分かり、影響が広がっています。

神戸製鋼所が考える原因

取引先の納期が厳しく、現場は間に合わさなければいけないという思いがあったのかもしれない、生産目標を達成するプレッシャーがあった為データ改ざんしたとされている。

神戸製鋼グループでいうと、機械部門の建設機械などではデータ改ざんなどの不正は見つかっていない、違いは原料がB to Bで、機械はB to C,この辺りに原因があるのではないかとも考えている。

これくらいなら安全に問題がないという気持ちだったのかもしれないとも。

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神戸製鋼所の対策案

神戸製鋼の上層部によると出荷済みのデータ改ざん製品の安全検査と確認を最優先して、原因分析、再発分析対策を立案していく、としている。

神戸製鋼所社長のコメント

神戸製鋼所の川崎社長は会見で、「神戸製鋼所の信頼度はゼロに落ちた、早い段階で信頼回復に努めたい」としている。
一方で、「安全検証と原因究明に対してリーダーシップを発揮するのが先決、辞任するかどうかは外部の意見などを総合して決めたい」と経営責任についてコメントしていたが、2018年4月1日付で辞任、山口新社長を迎えて新体制を迎えた。


経済産業省のコメントリコール費用については客と相談次第だが、払う腹づもりはあるとのこと。

今回の神戸製鋼のデータ改ざんは公正な取引を揺るがし、日本の製造業全体に関わる問題で、非常に重く受け止めているとコメントしました。

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今後考えられる展開

・自動車など製品のリコール(アメリカ等)、安全確認
・取引先の減少
・関係会社の清算・倒産
・他企業による買収、業界再編(JFEはアルミと線材に強い神戸製鋼とは補完関係があると考えているという話も)

または株を所有してる日鐵住金が名乗り出る可能性もある。

・取引の中止、既に納品した製品の返品、部品の交換

客先からの要求

JR西日本は神戸製鋼製のアルミ部品148個の交換費用を神戸製鋼へ請求した。

アメリカ政府も安全対策管理資料の提出を要求、しかし安全面に問題は無いと神戸製鋼はしている。

取引先の動き

川崎重工三菱重工は神戸製鋼から他のメーカーへ材料の切り替えを検討中。

現時点でも流通している製品の安全確認で神戸製鋼は特別損失を計上することがほぼ確定しており、今後リコールということになればデータ改ざんによる損失の拡大幅は計り知れない。

神戸製鋼の2017年3月期連結決算は230億円の赤字だった、その中でもアルミ・銅部門は120億の黒字で稼ぎ頭だったことを考えると、今回のデータ改ざんによる神戸製鋼の信用低下は痛い

いずれにせよ、今後は神戸製鋼製品の納入先の対応が注目される。

ちなみに9/22時点で神戸製鋼の株価が急に3.3%減していることから、データ改ざんの事実公表前に神戸製鋼関係者ら身内に連絡、株を処理させた疑いもあり、不正に不正を重ねる可能性もありそうだ。

まとめ

日系企業の不正が公になってきている中での神戸製鋼の様な大手製鉄所のデータ改ざんによる不正は日本中ならず、世界中で話題となっています。

信用が売りの日系企業から信用がなくなれば中国などの安価商品に対抗する武器がなくなり、各メーカーの外国調達の動きが加速するかもしれない。

安全性が確保できていればコンプライアンスが守れていればOKというのが神戸製鋼の考えの様に感じるが、今回の様にモラルを喪失した場合、信用はゼロではなくむしろマイナスだろう

一方で5年すればデータ改ざんの事実は風化するという楽観的な意見もあるが、元々斜陽産業と言われている鉄鋼業界で今回の神戸製鋼によるデータ改ざんは世界から厳しい評価を受けるのは必然だろう。

原材料メーカーだけに被害はタカタ以上になるか、今後は海外メーカーの追及が注目される。

 

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